|
|
それは悲しみに溺れて夢の続きを描いているように、心に強く清く鳴り響く音たちだった。
12月16日新宿ACB、私自身SOUTH BLOWのライブは初めてで、最初に持っていた期待感というよりは激しく感動した記憶の方が勝っていた。奄美大島から吹いた南風と彼等の熱さと切なさを兼ね備え、聴くものの感情を揺れ動かすバンドだというのが初めの印象だった。
SOUTH BLOWの登場と共に、その場所にいる全てのオーディエンスがドキドキの余韻と緊張感、期待感で溢れていただろう。人の群れをかき分け飛び乗るオーディエンスの瞳は、誰もが瞬きさえも忘れてしまう程SOUTH BLOWの世界観に次第に惹き込まれていくようにも見えた。
パワー溢れるサウンドと他には真似することのできない新風で洗脳させる「ココロノコトバ」が始まると、激しくも切ないメロディーとストレートな歌詞に一気にテンションが上がり、魅了されていく。演奏力の異常な高さと疾走感溢れるメロディアスな楽曲で1人1人の期待に感謝の気持ちを応えて歌っているようだった。
“小さく脆い自分を隠し守って生きれると/いろんな事をごまかしてきて/気付けば泣いていた”ヴォーカルの素直さと一生懸命さが力強くそして脆くも伝わる歌詞「コントラスト」では心の底の底までありふれた音で感じられ、その音を静かに聞き入る者もいれば体を動かす者、一緒に歌う者まで、全てが一体となっていた。
ほとんど関西を中心に活動していた彼等、「初めての人が多いと思います、SOUTH BLOWと言います。よろしくお願い致します!」その意外なまでの謙虚さと少しテレた様子に、力強い声、音、全てに比例するような嬉しい期待の裏切られ方だった。素直な歌詞が書けるだろう、歌うときの力強い瞳とそのギャップのある親しみやすさ溢れるMCで少しそう思った。
中盤戦に差し掛かった頃には、会場は熱気と興奮で真っ白になっていた。“ただ青く晴れた空だけが/心地よい笑を浮かべた/花の咲く帰り道/君と二人で歩いた道”。遠回りだけど切なさが心に確実に染みわたってくるバラードなナンバー「悲観桜」では、狭く閉ざされた心に感傷が降り積もり、涙が滲んでステージがやけに眩しくて、空気すら震えさせた詩だった。
その時すでに居心地の良さと安心感がこの場所には全て揃ってあった。これで認められなければ世の中間違ってるとさえ思ってしまっていた。“息を切らして走り続けて行けばわかるさ/今そこに立ってる意味も/歩き続けたその先の未路を”芯のある声量で優しさにも似た想いで背中を押してくれる「AM」に入った頃には、感動の度合いがいっそう深くなったのを今でも覚えている。ここの居場所は居心地が良くて美しささえ感じてしまう。
「あと、僕がこんなになまってるのは奄美大島出身だから。」そのMCに会場中が笑う。そんな中、あっという間にきてしまったラストの「ユウヤミ」。“何も見えてこない/日々を繰り返してる/全て嘘のように空が歪んで見えた”。心の暗部をさらけ出し、無常な叫びと切迫したパッションで訴えてくる歌詞が胸に突き刺さる。
 |
躊躇もなく聞き入る空間がそこにはあって、最後の曲が止んでもオーディエンスの呼応と高鳴りは消えることを知らない。ずっとこの余韻に浸っていたい、彼等の絶大な求心力の高さをまざまざと見せつけられた。もう一度同じ空間を共有したい、そう思わせた最高なライブだった。
|
|
|