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MARK LANEGAN BAND アーティストレビュー
MARK LANEGAN BAND

レコードを出すごとにScreaming TreeとQueen of The Stone AgeのメンバーであったMark Laneganは中毒、死、絶望といった最も暗い部分の美しさの核を深く深く掘り下げてきた。新作の「Bubblegum」で、彼は今までの中で最も素晴らしい深みに到達した。

これは暗黒である。残酷で魂を飲み込まれそうでありながら、快く退廃的である。「悪の華」の中で悪魔のようなレーテに陰鬱な子守唄をささやく、アブサン酒でぼんやりした自由奔放なボードレール。ポーの哀れなアヘンで腐った脳に痩せこけた指をぶつける、草刈り鎌を巧み使う赤い死神。

ラヴクラフトの闇の心の芯にあるエルドリッチの「The Old Ones」の始めの部分。「狩人の夜」で容赦なく2人の逃亡者を追う(そしてさらに震えている間歌っている)鋼の目をしたロバート・ミッチャム。そして、地獄のようなガチャガチャした音がなっている「Methamphetamine Blues」---彼の一見複製した様な新作のBubblebum(Beggars Banquetレーベル)からの葬送歌---を怒鳴り声で言う元Screaming TreeのMark Laneganだ。

まず荒涼とした不協和音の真っ只中で、この耳障りな喉をした放蕩者からとてもひどい甲高い声があがる。それからミッチャムの様な祈り:「起きろ、起きろ、子供達よ。私が来るのが聞こえないのか?」それから地獄からの嘆願:「私はそんなに早くこの天国から離れたくない。」子供達は彼が来るのが聞こえるようだ。そして村全体で、彼等はクローゼットのドアをしっかりと閉めベッドの下を2度チェックする。なぜならそれはフワフワした緑の映画『モンスターズインク』のビースティーではないからだ。それはLanegan、暗闇の象徴、とても理解しにくく警察のラインアップから彼をピックアップする事はできないし、映画『Frailty』の家族の様に監視カメラに捕らえることもできない。そして映画監督である。

ジョナス・アカ−ランドが頭が混乱する様な映画『スパン」で主題を攻撃したのと同じくらいの恐怖/陶酔状態で、彼はクリスタル・メタの様な倫理的には認められない物質の事を歌う。

Laneganは楽しみの代わりになるものの中ではとても素晴らしい。奈落の底をあこがれの目でじっと見つめて、そのうちにわめきながら転げ落ちていく快楽を求める人間である。暗闇はかれの強みである。暗闇は紛れもなく彼の才能である。リスナーは彼の音楽を聴いた後に隔膜を焼け焦がす様なスピードを(鼻から)吸い上げたくないかもしれない、しかしリスナーは既にその様な気になっているのだ。

Bubblegumの不吉なヘヴィ−メタル調のシングル「Sideways In Reverse」で、Laneganは「嫌な女の様に戦い、馬の様に蹴り上げる」ものへの讃歌をうめき、「死んでいてハラハラさせるもの」になり、「関係を作る」事を告白する。この魅惑的な歌の言葉は暗く、次元の低く、ストリート独特の言葉である。そしてそれはしゃれではなく、無法者のポーズをとっている訳でもない。Lanegan はロバート・ミッチャムである。そしていつになく控えめのウィットで彼は、「これらのくだらない歌の全てはドラッグについてだし、おれが愛について語るとき、それは人間の愛じゃない」と認める。彼は空一面を黒くするぐらい脅迫的な稲妻の様に低くガラガラした声で笑い、「でもそれはおれだけだよ。で、ラッキーな事に、このクソみたいな音楽に気持ちが通じる、麻薬常習者ではない人達がいるんだよ。でもいつも自分の人間の為にこの音楽を作っているってのはわかっていたけどね。」 彼は言う、「(おれの音楽は)わかるか、わかんないのかのどっちかだろうね。」

「‘Methamphetamine Blues’は少しスピード系の精神疾患の要素があるって感じだけどそれはきっとおれが数日寝ないで作ったからじゃないかな。」30代っぽいLaneganが自分自身を語るのを見て、一般の人は、彼は下水道から出てきた映画『C.H.U.D』か、『ファンタズム』の、圧縮された原典と異なる展開の世界からの落ちこぼれだと思うだろう。それには正当な理由がある。

彼の半開きの凝視と多量のボディーアートに気付いたイギリスの評論家は彼を「ロックシーンで一番怖い男」と呼んでいる。また最近行われたヨーロッパのフェスティバルで、Laneganはブルースパンクのデュオのthe Killsを相当気に入って彼等の事を褒める為にバックステージまでぶらぶらと歩いて行ったのだが、彼を見たバンドはコーナーに縮こまってしまった。「だからおれはそのまま通り過ぎていったよ。」と彼は溜息をついた。

彼にはその場でいつ聞いても笑えるジョークがある。彼の拳まであるタトゥーは「バスの中でおれの横に座る奴はいないようにさ。」と彼はクスクスと笑う。それらは何を意味するのだろう?「若い頃の軽率な行い。」彼はおどけて、さりげなく言う。そして彼の依存症、それは酒、コカイン、クラック、クリスタル、そしてヘロインまであらゆるものであったのだが、彼の昔所属していたレコード会社の1つは彼のことを本/映画のクラシックに言い換えるまでに至った。「彼らは実際におれの事を「The Man with The Golden Arm」じゃなくって「the Million Dollar Arm」って呼んでいたよ。でもさ、すごいぜ!今までずっとぼんやりした感じだった。でもいい意味でだけど…何せおれはまだ生きているわけだしさ。」

どうやってLaneganは大混乱に陥った彼の転落を始めたのだろう?それはワシントン生まれの若かりし彼がYakima SpeedwayでのSaxonのコンサートの間にテキーラを飲みすぎた高校時代に始まったのかもしれない。彼はショウの途中で目覚め、クラスメートが上段の席から恐れながら見物するのをよそに、学校で最も醜い女学生が観覧席で彼をファックしているのに気づいたのであった。彼は二度とCuervoを飲むことはなかった。「おれが 酒に問題を抱えているのは早い時期からわかっていたよ、というのもほかの連中はおれの様には酒で狂ったりはしなかったからね。」と彼は見極めた。

迫られれば、Laneganはドリアン・グレイ(英国作家オスカー・ワイルドの作品『ドリアン・グレイの肖像』の主人公)級の暗黒を彼の十代以前の時代まで遡ることができる。「それは不健全な好奇心、不健康な陶酔だった。」彼は今ではそう理解している。「初めてタトゥーをした連中の写真を見た時を覚えているよ。『おれもあのクソみたいなもので体中覆いたいぜ。』みたいな。それから初めてヘロインの事を聞いた時、おれは『なあ、おれもヘロイン常習者になるぜ!』って感じだった。まだ10歳にもなってなかったんだぜ。本当に奇妙だったよ。」

間もなく、Laneganはまる十年間続くことになるヘロインとの活力を失わせる死のダンスを始めた。彼は既に自分の兄がその魔物を振り払うのに苦労して失敗してきたのを見ていた。(「彼は毎年現れてテレビを奪っていく様なやつさ。それでやつが町に戻ってきたってのがわかるのさ。」)それでLaneganは「約1年間ぐらい雪や氷の中でホームレスになったりならなかったりしたよ。時々うちに泊めてくれる人もいたけど、ドラッグの取引を台無しにしたおれを殺す為にやってくるやつもいた。そんな感じのクソみたいなことさ。外に出た時に人がする、取るに足りないことってあるだろ。例えば、おれのギターを借りといて、売ったりすることとか。だから最後の方は…」彼は堰をしつつ言った、「…おれは華やかな場所には、いなかったのは確かだよ。」
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